初診時
STEP-1
60代男性、下顎右側奥歯のブリッジが入った土台の歯が噛むと痛む、とのことで痛みを感じる歯のブリッジの被せ物を外してみると、歯根に亀裂が入って、割れているのが認められました。
歯が割れてしまうと残すことが困難で、抜歯となります。
ブリッジのポンティック(=歯の欠損部分を補うために両隣の歯に連結されている人工歯)の部分にも歯がないので、下顎右側の奥歯は2本欠損することになり、その歯の欠損を補うためにインプラント治療を希望されました。

CTを撮影して、歯が欠損している部位にインプラントを埋め込むシミュレーションを行ないました。埋め込むインプラントの周りには骨がほとんどなく、このままではインプラントを埋め込むことが難しいことがわかりました。



GBR
STEP-2
インプラントを長期に機能させるためには、インプラントを骨の中に完全に埋め込む必要があり、まず、骨のない部位に骨を新たに造るGBR(造骨処置)を行いました。
割れている歯を抜歯し、抜歯してできた骨の窪みと、歯が欠損していた部位の骨の無いところに、骨を増やす顆粒状の薬剤を盛り付け、その形を維持するために体内に吸収される膜で覆いました。


骨を増やした部分を崩さないように歯ぐきでしっかりと覆い、緊密に縫い合わせて造骨処置を終えました。

GBR後12週~インプラント埋入
STEP-3
GBR後12週に骨の出来具合を確認するためにCT撮影をしました。



初診時のCTと比較して、抜歯した部位と、骨が無かったところに骨のようなものが出来て、インプラントが骨の中に完全に埋め込めることが確認できたので、インプラント埋入の治療に進みました。



STEP-4 インプラント埋入
GBR時には骨が窪み、骨が無かったところが骨様の固いもので完全に埋まって骨の厚みと高さが増えていることが認められました。


シミュレーション通りに、2本インプラントを埋入しました。


インプラント埋入後8週~2次手術(頭出し)+FGG(遊離歯肉移植術)
STEP-5
インプラント埋入後8週間の状態です。インプラントを埋め込んだ歯ぐきの部分を上から見ると、歯ぐきの幅が細くなって歯ぐきが薄くなっていました。


お口の中で最も丈夫で硬い歯ぐきがある上顎の裏側から歯ぐきを取ってきて、薄くなった歯ぐきのところに移植する「FGG(遊離歯肉移植術)」を計画しました。

STEP-6 2次手術(頭出し)+FGG(遊離歯肉移植術)
インプラントの頭出しを行いながら、薄くなった歯ぐきの部分に、上顎から取ってきた丈夫な歯ぐきを移植しました。


FGG後10週
STEP-7
FGG後10週の状態で、FGG術前と比べると歯ぐきの厚みがしっかりと増えたことが認められましたので、インプラントの被せ物の型取りを行いました。


インプラント被せ物装着
STEP-8
インプラントにジルコニア製の被せ物を装着しました。初診時と比べて、骨を造ってインプラントを入れることができ、インプラント周囲の歯ぐきを強化して、しっかりと奥歯で噛める状態にすることができました。


歯ぐきがしっかりして、被せ物も隣の歯と同じ長さにすることができ、奥の大臼歯のところは小臼歯が連なったブリッジ形態にして、歯磨きしやすい形態にしてみました。
今後は数ヶ月おきのメンテナンスを行っていき、長期に維持、安定できるようにしていく予定です。
